親を通して病院に行く機会が増えてきた中で、日本語は実に難しいなと思わされたことがあったので、ここで書いていきたいと思います。
基本的にお医者さんを紹介されたとき、「こちらが、○○医師です!」と言いますが、「○○医者です!」とは絶対に言いません。また、医療現場には「先生」がゴロゴロいます。もちろん、医療現場で先生といえば、医師のことを指すのが一般的です。しかし「薬剤師」や「理学療法士」だって医療の豊富な知識を持った専門家であり、先生といえば先生です。一体いつその区分けができたのか疑問です。
また、気になったのが「医師」「医者」「お医者さん」「先生」をどのように使い分ければいいのかということ。長年、日本人をやっている人は自然と身についているかと思いますが、日本語を覚えたての外国人は、間違いなく混乱するでしょう。「薬剤師」に「○○先生」と呼ぶかも知れません。あるいは、医師に向かって「○○医者!」という呼び方をする可能性だってあり得ます。
辞典を紐解いてみると、医師は、医師法に基づき、傷病の診察・治療を職業とする人であり、「医者」のことと書いてありました。一方、「医者」を引いてみと、病気や傷の診察・治療を職業とする人であり、医師のことを指すとありました。 字面を読めば、医師も医者も同じように思えますが、「医者にかかる」とは言っても、「医師にかかる」とは、絶対に言わないように、微妙な言葉のニュアンスの違いがあることがわかります。
私が思うに、医師は正式な名称であり、公的な場面でよく用いられるようなイメージがあります。一方、医者は口語的に使われることが多いように思います。例えば、医師は「医師免許」や「医師国家試験」といった名称で使われますが、「医者免許」や「医者国家試験」とは言いません。こういったニュアンスの違いは医師に限らずあらゆる単語で存在するので、日本語を習得する人は大変だなと感じさせられました。